2014年12月20日土曜日

空があんまり青くて
なんだか寂しいよ

みんなが駐車場へと行く時に
お前がいないなんて
金モクセイの香りだけが
現実へと戻す

空があんまりあの日と似ていて
煙りを思い出してしまう

あんまり空が青くて
あそこに溶けて行ったんだって
思ったもの

もう1年も経って
みんなが年を取るのに
お前の年は止まっている

空が青くて
いい天気だなぁと
みんなが歩いているのに
お前だけがいない

それはそうだ
お前の一周忌だもの

それは金モクセイの香る頃だったんだね

(1997/10/13)
好きだって思う事がある
けれど大切な事は聞けずじまいだ

時々分かり合えるはずだって
そう思うけれど
実は一番聞きたいことが聞けない

それで好きだって
失うことを怖れているのが
好きだって
そんな事あるのかな

何よりもそれを失うことが嫌だなんて
そんな好きってあるのかな

それってちょっと違う
彼女から何かをもらっている
それは彼女自身とも違う何か
僕のものでもない

そしてそれを聞かなければならなくて
それで何かを失ってしまうのが
怖いことなのかな

名付けるならそのものの名は
世界
ほんと小さな世界と呼べるかな

(1997/10/03)
雨
一日中部屋にいた
ほんの5分だけ外に出て
あの匂いの中にいた
アスファルトの道路に
降っていて
そこを一人で歩いていると
これって人がしている事じゃないよなって
そう思った
これって人がしていないよな
だけど街に雨が降っている

僕は今日も一人きりだった
雨
降り続ける雨
だれもが
雨の下にいる
僕はそれが好きだ
雨の匂ひ
土が喜びの声をあげているような
匂ひ
僕という人間は今日もまた一人きりだった
この頃いろんな事がちょっと辛いな
自信を持てなくて

(1997.09.15)

2014年12月16日火曜日

僕には何も言えないけど
あなたはこの街隅で
路上に座り込んでいるのに
余り不幸そうじゃない

僕はただ通り過ぎてゆくけれど
一人ぽっちで座っているあなたは
下手くそな笛を吹き続けている
ちっとも上手くない音

いつかはのら猫のように
くたばっちまうのだろうけど
それでも人の人生だ
何が幸せで不幸せだなんて
誰にもわかるものか

誰にも聞かせる気のない
笛の音だろうけど
誰かがうるさいと言い
誰かが耳にしている

その音は街を切り裂いて
そのすきまから
空へと記憶されていった

その汚らしいあなたは
もしかしたら
聖者の生まれ変わりなのかもしれない

馬鹿らしいから
僕は黙って通り過ぎてゆくけれど

誰が幸せで誰が不幸せかだなんて
誰にも分かりはしない
小さな幸せに
忘却して生きているのかも知れない

誰もが何かを見たいんじゃないかな
だから煙草の煙りをくゆらせてみる
もしかしたら何かが分かるんじゃないかと
この部屋でテレビをつけたまま
僕は何かを見ようとしている

ねぇあなたは今頃
何を思いどこで何をしているのかなぁ

決してそれは分からないけれど
あなたは同じ時を同じ街で生きている
それだけは信じているよ

ねぇあなたに幸せなんて
聞いても仕方ないけど
自分の幸せについて思っているよりは
よっぽどいいだろう

君の幸せを願っている方が
だから願っているだけにしておくが

誰の幸せも願っていない
そんな笛の音が
街の夜に響いていた

あなたはだた吹いていた
他の人の耳に届いてしまうのが
この世界だ

それでいい
きっとそんな世界だからいいんだ

一人きりの世界じゃない
けれど寂しくないわけでもない
街は空へとそびえ立ってゆくけれど
煙草の煙りほどにも揺らめきもしない

あなたとは二度と会うことはないだろうけど
それもこの街の片隅でのこと
色々なものがあるんだろうけど
僕には上手く言えないよ

僕には上手く言えないけれど
そうだな

あなたには何も言えないけれど
願っているよ

(1997.09.11)
人は救われない
どうしたって救われない

何を言葉にしたって
救われはしない

人は救われないけれど
この体がある

肉体があって立つことも
歩くことも笑ったり
怒ったりすることもできる

救われないけれど笑う事ができる

一人ぽっちで誰も救われないけれど
この世に生まれてきた

心は何かを思っているけれど
それが何かは分からないでいる

だけど人には体があって
時間は流れている
時間はこの体の中に流れている

体だけが
他の誰かを抱きしめて
その温もりに触れることができる

救われはしないが
忘れることは出来る

それを求めている

(1997.09.08)

2014年12月6日土曜日

すっごい吹雪の中だった
じいっとその鳥は
嵐の通り過ぎるのを
待っていた

僕はちょっと寒いふとんの中で
寝ていた

次の日起きたら
鳥は晴れた足跡が一つもない
雪の原の上を飛んでいた

ぶるっと一回身を振るわせて
自分に積もった雪を払ったに違いない

太陽の明かりが眩しくて
目を細めたに違いない

空を飛んでいる鳥を見ていた
温かな家の中から見ていた

どこへ行くんだろう
飛んで何をしに行くんだろう

いや本当にそんな事を思うよりも
飛んでいる鳥の方がいい

カァと一声鳴いて飛んでいた

(1997.09.08)
今日も外に出なかった
見たのは窓から青い空だけ
テレビだけがたくさんの人を映していた

長い時間、眠っていた、夢を見てた
どんな夢かは覚えていないけれど
起きた時にそこには違う自分がいた

昨日とは違っているような
そんな長い夢を見てたんだ

それからずうっと外へも出ず
青い空を見ながら
テレビをつけていた

一人ぽっちの時は
時間って流れないんだな
一日は過ぎてゆくけど
淀んでいるんだな

詩で誰かを救えるなんて不遜だな
自分ひとりも救えやしないくせに

一人ぽっちでは何も始まらないんだな
でもこの街でどうやって
色々な人が出会っていると言うんだろう

一人だけじゃ始まらないんだな
僕一人では始まらないんだな

僕でない誰かからの救いがなければ
始まらないんだな

(1997/09/07)
出会い、別れ。
今日も恋をしている。

昨日の女ひとよりも
今日の女にもっと恋してる。

忘れてゆくことが出来るんだな、
新しい人を昨日よりも
もっと恋しく思えることが出来るんだな。

昨日は何でもなかった仕草が
今日は一番可愛く思い返される。

出会い、
今日、もっと好きになれるその女と会った。

昨日よりももっと好きになれる
彼女と出会った。

もしも明日、
出会い、別れ。

別の女に恋したとしても
そんな気持ちで生きてゆけるんだな。

そうなってしまったら
そうなった時は忘れてしまうの?

そうなってしまったら
誰が悪いの?

(1997.09.03)