何もかも
捨て去って
地上の全てから
逃げ去りたい
帰る家もなく
お前を連れてゆく
車もない
そんな時に
空を見れば
ぽっかりと
月が輝いていた
全てが洗われて
流れ残った白い明かり
月明かりには
お前の匂ひがする
全てを照らし
世界の何処にでもある月
月を住家として生きてゆく
(1995.11.6)
帰る場所がない
この街に
誰れか
旅人とならないか
帰る所がない
秋の日に
誰れか
恋人とならないか
秋の日に
さわぐ心が望むのは
誰れか
彷徨い人にならないか
家に帰りゆく
その人たちの
戻る日は
いつか秋にはならないか
暖かい秋の日は
君をさそって
海へ行こう
仕事が終わってから行くので
もう真っ暗だけど
かまわない
君が温かい
ぴったりと
寄り添って
波の音
もしもこれが
昼間だったら
砂浜を歩いているんだね
もしもこれが
本当だったら
君に寄せて
波に散るんだね
(1995.10.28)
夜の川の流れ
澄んだ水の音
眠っている魚たち
川面に明かりを掲げている
川のせせらぎが
こんな深夜にも続いている
川の面(おもて)に風が吹く
あちこちで虫の声がする
水の中の佇む魚たちは
まだ気付いていない
川は美しくなければならぬ
美しい川が僕を呼ぶ
会いに来いと
全てを捨てて来いと
秘かにささやく秋の夜の流れだ
(1995.10.14)
雨の音が強くなってゆく。
こんな夜に降り続ける。
その音はとても止みそうにない。
だから色々と考えてしまう。
秋に降る雨は何も流し去りはしない。
暗くなった街明かりに雨が煙る。
暗闇の中へと雨が消えてゆく。
音だけが僕に教える。
明日晴れたなら、朝に
金木犀のにほひがするだろう。
(1995.10.1)
木がバチバチとカマドで燃える
昨日の灰が舞う
秋の空に
雲がなびく
稲穂が風に揺れる音が
聞こえてきた
秋には水がこの辺り一面を湿らす
後二十分もすれば風呂が沸き
風呂上りには
虫や蛙の鳴り響く
暮れゆく夕闇で
風に当たる
山を見る
(1995.9.19)
雨の音が強くなってゆく。
こんな夜に降り続ける。
とても止みそうにない音。
だから色々と考えてしまう。
空きに降る雨は何も流し去りはしない。
暗くなった街明かりが雨に煙る。
暗闇の中に雨が消えてゆく。
音だけが僕に教える。
明日晴れたなら、朝に
金木犀のにほひがするだろう。
(1995.10.1)
秋にもなれば
涼しき夜になりにけり
風にも冷たさ感じられ
見上げた空に雲高く
虫の声のみ聞こえけり
全てが哀しみ帯びて
見え出した
明日来るべき日は
けっして楽しき日には
ありざりし
けれども風は
今の私に調度いい
これから山は紅葉になる
(1995.9.10)