2015年5月16日土曜日

下半身を晒している
紅い月だけが
俺を見ている

周りはコンクリートで囲まれて
ただ俺を見ているのは
紅い月だけだった

赤いビル燈が点滅している
空の上に

ぽっかりとしているのは
月と猿の心

星もないケダルイ夜空には
紅い月以外見つける事が出来なくて

何も何もない地球の周りにある月は
監視者かも知れない

何を誰を見続けているのか

(2000.11.08)
深夜、何もないテレビを一人で見ている
今夜、殺せ殺せの声が日本中を覆う

どうしようもなく寂しいとか
訳の分からない怒りとかが
単純な言葉にしかならない

幾つもの言霊が幽霊になって
豊国と呼ばれた頃に比べると
どうやらどの時代よりも

「ただ生まれて死ぬだけだろ」

誰もが一人ぼっちでテレビを見ている
どこかで何か新しい事が始まっている

それは君の体の中であったり
知らぬ土地の知らない話であったり
それに生涯気付かないかも知れない

それでもこの時代の風に吹かれている以上
君はその全てを受け入れているはずで
どの時代よりも僕達は

「新しく難しい時代を生きている」

夢の中、彼女の中で
秋の香り、煙草が流れて
雑踏の中を一人きりだったり
家の中が薄暗くて、静かで

ひとりでいる時なんかには
何でもいいから
テレビでも点けてみて
映し出された誰かを笑ってみる

のっぺりとした画像からは
何も伝わらないかもしれない
それでも、君はつぶやく

「こんにちは、自分」と

(2000.09.17)
夜、外に出てみると
驚く程に明るい星が輝いている

暑い夏が通り過ぎて
少しだけ風が涼しくなってきた

僕はと言えば
少しだけ未来を考えてみたりしている

そこで出会った人に
何かを話さなければと思ってる

少しだけ分かりそうな気がしたけれど
それはすぐに行き去ってしまったので

二人でいっしょにいる時間があるというだけで
それでいいというわけではない

(2000.09.17)

2015年5月2日土曜日

12kgのすいかを見た
甘く瑞々しい味がした

縁側で寝ていたら
アブに刺された

オニヤンマに噛まれた
指先から血が出た

川を泳ぐヘビを見た

鮎に振れた
手の中で跳ねた

ジャガイモや玉ねぎが
美味しかった

トンボが田んぼの上に並んでいた
水が流れ続けていた

何もかもが
まだそこにはあったのだ

お墓参りをした
お盆だった

(2000.08.21)
不意に現れて
窓の外で
みいみいと鳴く白黒ぶちの子猫

白いミルクを差し出すと
全部飲み干して
まだ何かをねだっていたっけ

どうやって
生きてきたかも知らないが
何回か会った時に
そっとなでてみた

逃げる訳でもなく
ただなでられていたっけか

何もあげるものがなくて
追い返したことも
あったけど

夏の終わりに近くなって
しばらく見ないかと思ったが
それっきりにいなくなった

今もどこかで生きているかも知れない
それでよしとしよう

もうどこかで息絶えたのかも知れない
それでもよしとしよう

あまりに不幸でなければいいと
そう願うだけなのだ

(2000.08.06)