2015年4月25日土曜日

うろうろと街を彷徨い
行き止まりに立ち尽くすと

暑苦しい空にぽっかりと
さかりのついた月が浮いている

じめじめとした
不快な肌
なにもかも捨て去ってしまった

ただどこへ行こうか
それとも二人になろうか

亜熱帯の風の中
暑苦しい空にぽっかりと

さかりのついた
白い明かりが

雲の間に間に

(2000.07.22)
寝静まったビル街の一室で
仮眠を取っている

その遥か上空には月明かりが
静かに

苦労して
理不尽に苦労して
僅かな眠りでは

やや
月の明かりさえ知らずにいる

そのビル街の外では
タクシーは客を乗せて走ってゆく

僕達は
薄暗くなったまゝモニターの
明かりを見ている

誰にも見る事は出来ないだろうが
その脳髄の中で起こっている事件は
きっとエキサイティングだ

一緒になって
苦労するだけの価値はある

月明かりを見ることは出来ないが
共に月明かりに想いを馳せる
時間を共有している

(2000.07.06)

2015年4月19日日曜日

雪を湛えた連峰
世界で最も聳え立つ月

人を拒絶する強風が
高度一万メートルの上昇気流で
青空となる

月に最も近い大地で
春になると
鶴の群れが上昇気流に乗って
ヒマラヤ越えに挑む

何度も何度も繰り返しながら
天候に失敗しながら
その小さな鶴の群れは
飛び続ける

どうしかして山を越えようとする

飛行機ならば楽にその上を飛ぶことだろう
しかしその何が美しいのか
何がすばらしいのか

彼らは弱い存在かもしれない
しかし彼ら自身に山を越える
絶え間ない意志があり
彼自身に山を越える力がある

本当は宇宙まで飛びたいに違いない
それを超えるべく人は水素を燃やし
無重力空間を漂わねばならない

(2000.07.06)
雨が降った次の日は
全ての光が降りそそぐ

いつもは薄汚いビルヂングが
光りを受けて輝いている

青空は決して手の
届かぬように遠い

光りはあらゆるものを
美しく輝かせる

この世の全て
悪さえも人さえも

空に聳える建物が
まるで自然物のように

美しく
僕の目を離さない

あらゆる全てが輝くのは
実はそれがもつ魅力からではない

花も草も木も
この街も

光りあふれている
この星は光りを受けている

光りを受ける事が
輝くために必要なんだ

(2000.04.19)

2015年4月10日金曜日

僕達は45億人
ひとりひとりの顔を
思い浮かべる事はできない

だから誰もこの世界の
唯ひとつを決める事はできない

同様に十年後に生まれる人間の顔を
思い浮かべる事はできない

ただ川の流れを見て
どちらから流れているかを
知る事が出来るだけだろう

ただ今を生きる
顔を知っている人の事を考えて
どうすればいいかを
思い浮かべる事ができるだけだろう

それでも今は昔より
多くの人を知っている

映像や写真で
色々な人の顔を見てきたから

それが今を作っている

(2000.03.20)
遠く赤倉の駅
それまで晴れていたホーム
急に雪が降り始めた

四方の山をぼかすかのような
大量の雪が横なぐりに降り付ける

寒いはずなのに
何故かそう思わない

田んぼや畑の田舎の駅で
電車を待っている僕達は
この場所から離れてゆく

そして雪はとどまり
この地に降り続くだろう

楽しかった日の思いである

(2000.03.09)
13年前と変わらない
10年後も変わっていないだろう

そんな毎日を過ごして
仕事に追われた
今日の終わりに
ふと目をとめると

そこに
まっ白な梅の花が
枝に咲いていた

しばらく足を止め
見ていたら
何だか大切なものを知ったようで
また歩き出した

その花は雪の白さと同じように美しく
平安の昔から
この国の人に好まれていたのだと
思うに値する

(2000.03.09)

2015年4月3日金曜日

この空はすべて俺のもの
冬のこの夕陽の美しさを
誰も知りはしないのだから

まっすぐな太陽が
今日の日も海の彼方へと
消えようとしている

なんだか
思った通りの道なんて
一つも歩いて来てないな

このままでも
いってしまおうかなと
思ってしまう一日だった

何だか古い歌がとても心に染みて
一体自分は何をしたいんだろうと
自分を責め続けている

そんな日々が刻々と通り過ぎてゆく
そんな一日に見た夕焼けは
やっぱり俺ひとりのもの

その美しさは俺のものだった

(2000.01.14)
木枯らしが吹く
街はどこまでも見晴しが良くなって
この街の本当の姿が現れる

汚い空が消え去って
人はこの街の本当の姿を見る事ができる

その時に僕たちはどうしてこんな所に住んでいるのかと訝る
海はコンクリートで囲まれて
街は何の愛想もなく生えている
木々がてんでばらばらに生えている山は
あんなにも美しくなるのに
この街にてんでばらばらに生えているビルは
かくも美しさがない

何かが欠けている
それは恐らくビルとビルの間に・・・
木枯らしが全てを
スモッグや塵などを
吹き飛ばしたこの街も
明日はまた汚れた空に覆われて
誰も本当の姿を見る事はなくなるのでしょう

今日だってどれだけの人がこの街の
本当の姿を目にしたというのでしょうか

(1999.12.07)
空は思ったよりずっと高い所にある
人は長い時間をかけて
ロケットを飛ばした
だけどまだ空をつかんだ人はいない

人は空を追い駆ける
例え空を追い抜いても
空はいつも一番遠い所にある

高い山の上では
今にも月に手が届きそうだ
だけれども

それでも空はまだ高い所にある
星は今にも落ちてきそうなくらい煌めいているのに
それを手にした人はいない

秋はなんだか空を持ち上げて
なんだかくる予感を感じさせる

(1999.09.20)