2012年3月26日月曜日

町を歩いて居ると
櫻が咲いていましたので見ると
其れはたいそうきれいな
山櫻でした。

溶けそうな薄紅の花弁と
小豆色の葉っぱとが
其の自然に繁る枝ゝについて
木が一つの花とさえ思えました。

花の中心が血の様に濃く
段々と其れが薄くなってゆく
然も枝の繁り方が実に
柔らかい。木を削る時の
柔らかさの其んな感じなのです。

雨降りの曇った日でしたが
鳥が多く来て チーチ チーチ と
鳴いていました。
それは実にいい声でした。

(4/4)

ト短調シンフォニー(Symphony No.40 in G minor)

一.
さざめく枝葉と、はじかれる木枝
力強く誰にも止められる事のない
土黒い川の流れ、ヨウロッパの舞踏に乗せて
人々の足取りの様に床を蹴る。

バイオリン手の悲しげな眼指す。
楽上の響き
止む事のない人の踊りの足取り重く、
蝋燭の明かりが消える。

見あきる事のない
降る月光たち。
川を作る。
WWの様に揺れて、
月の向こうの滝へと向かふ。

二.
眠りから覚めた人々の足がそこから放れ床を蹴る。
ホルンの響き静かに連奏の楽器の流れ、
フルートが示す小川の流れ、
ふと見上げるとまどろみの眠りの中から覚める様に。

この上にはまだ月が見える。
月明かりさすこの西洋の地に。
繰り返される響き、
バイオリンの描く放物線が月を良く見ろと言ふ。

降る降る霧の粒に捕えられ、
降り落ちる月の光。

三.
大河の荒れる、激情の太い手を見せつけられて
混ざりこんでいる子供たち、
駅馬車の軋む車輪の
夜の森の小道を走る。

夜の、石コロを飛ばしつつ、
コートに包まれた男は一睡もせず、
朝日が射した。

汽車の終点が近い、
プラットフォームから放たれて、
どんぐりの様に
転がる。

四.

2012年3月19日月曜日

昨日より紅く染められた唇が
君に嬉しい事があったのだと教えてくれる。
その唇を知っている人は幸せだ。
夜は紅が落とされていて
その淡い色の唇を見たことがある人は幸せだ。

きみはもうすぐ誰かと婚約して
お嫁さんとなり
そして母となるだろう。
君は母となる人。
それは分かっていたんだ。
寝れぬ夜に、いと静かなれば
心治まり、故郷が思える。
水を湛えているかのように、心の湖は、
夜で静かだ。

月は無い。草も林も、よく分からない、
ああ、ゝ
彼処に山影が・・・。
宇宙の拡がりと。

寝れぬ夜は、いと静かなれ、
可愛い娘は、確かに今、
寝むっていると聞く。

02/05
雪の間に居た
薄紅の頬する
かの女の
蕾を待って春は来にけり。

明日、桜は咲くだろふ。
枝一面に流れる様な櫻の花は、
色を染める。

薄い肌の
かの女の
蕾を待って、春は
春来にけり。
空に在った
雪解け水の様な雨が
三月の頃、降る。

お前は今、
知る術もなく
人の出る季節と言うに
この雨は、僕に降る。

昼間には目覚めぬ者が
夜、むくむくと起きる。

しかし、その薄暗さが消えても
雨は以前のまま
雪々が解けては空から落ちて来ている。