2013年5月25日土曜日

渓谷に入ると風が変わる。
日が変わる。

人は伝え聞く事ができる。
自分はどうやって生きているのか。

木々の間に草が茂り、
林を作る。
渓谷の音は止む事はない。

何がでも、何故でもない。
生きがい、生きがいと余り言うな。
水槽の中の魚たちでさえ生きる価値がないもののように見えてくる。

それが自分を写す鏡とは気付いていまい。
生きがいなどは、人間だけの何んと小さな価値だろう。

魚たちと分かち合う程の価値もない。
この水槽の魚たちの佇まいには、
まるで人を小馬鹿にしている風がある。

お前たちなどに分かってたまるか。
生きがいがなければ生きてゆけないか。

魚たちの頭の中で何んという多くの考えが生まれている事だろう。
それが何か、僕に読めるはずもないが、一瞬としてひるむ事はない。

それは人には伝わらない。
ただお前たちのように生きるだの、
生きがいなどというもので生きてゆけるなら、
何んと楽な人生だろう。

覚悟しろ。
うーん、なんて言おうか。
最近、毎日会っている気がする。

ちいっとも寂しくならないし
話もしているしね。

覚えてはいないけど
朝、目が覚めると
なんだか会っていたように充実している。

僕が眠っている間に会いに来てくれる君。

一体、いつ、僕の前に来るの。
決して間違えることはないよ。

2013年5月11日土曜日

その医者は夢の中より現れ
我が命を語る。

病ありと言えども
命に係わらず。

先に母子を見るに
腫物にて救えずと言い
墓を建てん。

(5/23)
真夜中の寝静まった街を一人歩くと。
空がいやに明るくて雲さえ見えてくる。
うすぼらけの月があった。

月を見ていると何もかもが分かったような気がする。
風に吹かれていると生きていることが分かったような気がする。
誰かに呼ばれた気がして遠くをのぞむ。

やはりとどかないあの月には。

人類があの月に立ったというが
僕には捕まえる事はできないよ。

いつかあの月の光を失う程に食い尽くすかも知れないが、
それは僕達の子供たちの問題だ。

どっちみち僕達には任せない方がいい。
食い尽くすに決まっているから。

届かない月を見上げていると全てが。
何でも受けとめる事ができそうだ。
例え死に土に帰るのだとしても。
かすれてゆく。

誰かに呼ばれたようで、この夜に。
忘れられない。
ウンウンうなって寝ていた晩の事だった。

一羽の真っ白なさぎが降りてきた。
僕をまっすぐに見つめていた。

美しい鳥で、
しばらくすると、
僕の首辺りをつついて、
悪い所をついばんだ。

その目は丸い。
こちらをまっすぐに見つめている。

この鳥が僕の所に来た事が分かった。
僕が飛び去らないように願っていると
更に僕の首の周りをついばんだ。

白さぎは病をついばむ鳥である。
しばらく首の痛い所をついばむと
羽ばたいて飛び去った。

遥かあの地より来てくれたのだと思う。

2013年5月5日日曜日

ほら、これが僕の骨と - 中原中也 -

ほら、これが僕の骨と
さし出したのは、
山羊の骨だろうか?
それとも人の骨か?

雨でぬめぬめとした
赤土より飛び出した骨なぞは、
大地が軍靴の足音で揺れれば見向きもされぬ。

唄などは
あっけなく飛び散るばかり。

のどかな春が来たら、その時に、
握手しませふ。

秋の夜に蛙声が水面をすべったのは、
何時の夜だったろう。

今やありとあらゆるものは
埋め立てられた。

夜汽車の駅も埋め立てられた。

ゆらゆらと飛ぶ蝶は、
アスファルトの上へととまり、
またどこかへ飛び去ってゆく。
長かった。
今日、ここに、戻ってきた。

失って、初めて、
本当に愛し始める事ができる。

君の愛ばかりを求めて、
君の苦しみに気付かなかった時。

君の苦しさに気付かないで、
君の愛ばかりを求めていた僕は、
一度たりとも君の苦しみを癒せなかった。

僕は君に拒絶されて初めて
君を好きになる事が出来た。

大切なのは、
どこまで君の事を思えるかどうかにある。

僕は弱いと初めて言えた。
弱さを見つめ続ければそれは強さに変わってゆく。
君はいつもそうやって君の心のままに生きてきたのだから。

心をさらけだしている、
君の生き方はとっても素敵だ。