夢って決して破れたりしない
見失ったり捨てたりすることは
あるかも知れないけれど
何故って
生きている事
それがもう
夢の形なんだから
生きている事
それは
誰かの夢の形なのかも知れないよ
(1998.10.08)
何も語る事のない
この喧噪の中で
街は動き続けている
言葉を失って
詩は存在の
意味を失った
唄が溢れている
けれども…
ただ静かに
この喧噪の中で
夕陽はこの街を染めている
言葉を持たない
鳥がどこかで鳴く
姿を見せずに
詩が歌われなくなっても
心は詩でできている
(1998.09.08)
夏の夜は
亜熱帯高気圧がのびてきて
暑くて眠れない
体がベトベトして
何度も寝返りをうってしまう
そんなことをしていると
あなたの事を考えだしてしまう
何も考えられなければ
よいのだけど
あなたのことを想いだしてしまい
夏の夜は暑くて寝苦しい
亜熱帯高気圧がのびてきて
一人の身には
寝苦しい
(1998.07.27)
ポーンと飛んで行ったように
何かが変わってしまうと
心の中はたいへんな
穏やかさにつつまれる
人は希望すれば捨てれないものが
絶望だと知ると捨ててしまえる
一度捨てたものは忘れられてしまい
二度と蘇ることはなく
涙を流した方がいいのかなとも思うけれど
その頃にはもうとても遠い所に居た
(1998/07/27)
電車の中に一匹の蟻
小さな蟻がいた
群れからはぐれ
どこから来たのかも分からない
どれだけ歩いても
もう帰ることはできない事件
例え近くの土に帰した所で
生きては行けまい
電車の中にいれば
元の場所へ帰れるかも知れない
僕は何もできなくて
ひとり電車を降りた
蟻に話しかけることもできずに
他の人たちの目が一人きりでは怖くて
(1998/06/08)
この街の片隅で
愛は見つからない
小さな出会いには
愛など見つからない
なんだかこのまま
行ってしまいそうな
そんなこの時に
ビルに雨が降る
街を濡らすように
雨がふる
この街の片隅で
誰もいない
何一つの愛もない
ただ雨を降らしている者がいる
(1998/05/24)
I.
雨に濡れた桜は
いつもより紅く
頬を染めた女のようだ
艶めかしくあえぐ
女の色のように
染められて
思い出すこともある
明るい春の雨の中で
花びらが美しく
輝いているが
もうすぐ散ってしまう
その女のように
消えてしまうのだ
II.
雨に濡れた桜は
朱に染まり
頬を染めた女のようだ
いつもより
艶めかしく
それは女の色を
思い出す
春の雨に濡れて
花びらが明るく
輝いている
二、三日すれば
散ってしまう
女が消えてゆくように
(1998/04/07)
○ 23回の桜の花の咲く頃
× 23回の桜の咲く頃
ここには僕の居場所はないな
そう思う
昔の場所へ戻ろうか
そこにはあるかも知れない
居場所のない此処には
なんだか一人ぼっち
過ぎてゆく
居場所って何だろう
誰かの胸の上にあるのか
どこかの場所にあるのか
僕の居る所が僕の居場所だ
誰かの所でも
どこかにある訳でもない
僕がいる
ここが僕が居る場所なんだ
無人の荒野を一人切り拓くとしても
この都の中を一人で歩いているにしても
(1998/03/22)
辛いなと思ったら
いつか神に祈らなかったか
思い出してみるがいい
神と取引をしなかったか
誰かの幸せのかわりに
自分の幸せを差し出したりしなかったか
自分の夢を売らなかったか
自分の夢と引き換えに何か手放さなかったか
孤独とは仲良くなった方がいい
それほど悪いものじゃない
誰かを憎んだりしない方がいい
自分の心が苦しいばかりだ
風はその心と関係なく吹く
テレビを見てみるのがいい
話した事もないけれど
とても立派な生き方をしてきた人を
見る事ができる
(1998/03/20)
歩いた道は
誰かの心の中に
時間の過ぎるままに
ただ前に行くだけ
心には問わない
ただ思う所がある
それは誰にも
何も言えないから
ただ
ここにこうしてあることを
恐れる
何百何千の
数えきれない程の星があるように
人の命もまたあるから
人はみんなで
少しづつそれを抱えながら
ここにいる
(1998/03/09)
雪が舞う
風に吹かれて
舞い落ちる
一面も白く染めながら
緑の葉をつける
木々さえも白くする
木の枝に積もった雪が
とても良く合う
とっても冷たく
刺すような寒さなのに
お互いは仲の良い
間柄のように思う
雪は次第に溶けて
なくなってしまうだろう
それまでの短い時間のことを
木は決して忘れていないだろう
(1998/01/08)