2015年11月28日土曜日

君がいつか見たいと言っていた
海を見に来ました
僕一人で


一人で見る海は何も語らず語りかけず
ただ静かな陽射しを浴びて波が崩れます

砕けた波は白い細かい粒となって
砂浜に消えてゆきます


貝殻はその中でただ静かに
ただ揺れています

波は変わりなく崩れます

それはどんな音楽よりも長く続く
単調でそれでいて飽きることのない

例え一生この音を聞いたとしても
僕の心は動かないでしょう

波の音はいつまでもいつまでも
それは空に輝く星々の歴史のように
朝、目を覚ます僕に君はおはようと言い

台所に立っていた。

コーヒーが欲しくて起き上がる

朝はすがすがしく

二人きりの生活はいつもおはようから始まる

朝、目を覚ます僕に君はおはようと近付き

僕にくちづけする

やさしく目が覚めて

それでも欠伸が出る

全ての人々が幸せに見えて

おはようの言葉がいつも響く

朝、食べた卵焼きはいつもの味と違うけれど

おいしくて、おいしく思えて、つい

笑顔になってしまう

楽しい会話の中で僕は仕事をし

今日はもう終わりと早めに終わる

それから彼女と街へ出る

楽しい時間はいつまでも続き

仕事は進まないが気にしない

朝、目を覚ます僕に君はおはようと笑い

今日も一日が始まる
やめろよ、そんな叫びも通じない

口に出せない怒りは通じない

人の世に生まれた限り

みな生きて

それでも命は

僕の体に流れる血は

いつの間にか流れ落ち


やめろよ、そんな声は届かない

口に出せない行動は見向きもされない

人の子として生れた限り

みな笑い

それでも命は

僕の体に宿る心は

いつの間にか流れ落ち


遠くどこかで走る人は

それでも生きてみて

それでもそんな目をして

僕らにとって恐ろしく

余りに悲しい目は

生れた限りは人として


みな生きて

それなのに

彼らの目はもう人ではなく

人ではなく、人ではなく

それでも彼らは人でなく

2015年11月21日土曜日

もうすぐ死ぬというのに僕の手の中でまた光ってるホタル

君は僕の手にいつまでも居てもいいんだよ

飛べない最後ならいつまでも居てもいいんだよ

飛べない最後なのにいつまでも光り続ける

弱く緑のかかった黄色い光は

この真っ暗な空に似合い

そして一つの川となる

その光はゆっくりと

ゆっくりと

光り続け川となる
たまらなく多くの人たちが立ち止まる交差点で
ただ足踏みしている人達はたちまち道を塞いでしまう

彼らの内、何か考える人は幾人いるだろう
その目は立ちはだかるコンクリートのビルを見
目に映るものの中に太陽も鳥もそして草もない

そんな世界でも激しく言い合いただ生きる人もいる
彼らはコンクリートの囲いの中で生きているようで
吸う空気はほんとは何であろう

その空気は冷たく気持ち良かろうが
それは風でもなく草でもない

そんな中でふと何かを想うがそれは
いつの間にか消えてしまいまた生きる

掴もうとする前に彼らは動きだし
気付かずにまた交差点を渡る

多くの人は笑っているがそれがまるで
石膏の人形のようみ見え操り人形のように見え
それもいつの間にか忘れ

みんな夕陽を見る事もなく川の風を感じる事もなく
コンクリートの中を歩いて消えてゆく
温かい毛布の中で
その中で温もった空気は
何故か美しく温かい

心に沁みる温かさは
君自身によってつくられる

冷たい毛布も
いつかは温かく
君を包んでくれる

君がいま捨てる家庭は
どこへ行けばいい
君の心はどこへ行く

体を癒してくれる温かさは
冷たい毛布の中にある

冷たい毛布も
いつかは温かく
君を包んでくれる

心に沁みる温かさは
君自身によってつくられる

2015年11月13日金曜日

川のようにいつまでも流れ
私はその中で流れてきた

色んな世界をみ
そしていつの間にか

水はいつもきれいだったはずなのに
そこにあるのは黒い水

私はその中で泳いできた
そしていつの間にか

そしていつの間にか
私は海に出た

海に照る太陽は余りに暑く
疲れた体を癒してくれる
波はやさしく

そしていつの間にか

そしていつの間にか

浜に打ち上げられた私に
波はいつまでもやさしく

やさしく洗ってくれる
霧雨の中でずうっと立ち尽くす僕に
君が差し出したコート

そのコートも今では古ぼけて
どこかにいってしまった

時の流れは余りに早く
僕の想い出を奪ってしまった

あの日の帰りに君と入った小さな店
そこで頼んだココアは甘かった

その甘さも今では忘れてしまい
コーヒーの苦さが分かるようになる

時の流れは速く
甘さよりも苦さの方を
好きにさせてしまった

遠い昔
君と歩いた町並みは
今僕が家族で歩く

その幸せな家は君が
教えてくれたのか

その思い出を忘れた
遠い昔もう思い出せない
深い流れのビル街を必至に泳ぐ君は若者で
それを助けるのは君の何だろう

街中の流れは余りに速く
どんなに泳いでも疲れるだけで
助けてくれる人は誰もいない

もう止めるかい
君の体はもちはしない
そこまで先を見ず話を聞けよ

なぁ話を聞けよ
もういいじゃないか

そんなに先に進むなよ
そこからは流れは速いぞ

それでも真っ直ぐ行くのか
どうしても
真っ直ぐ先に

そうならば
おれを置いてくなよ
お願いだから

2015年11月8日日曜日

夜の雨が好きです

なにもかも静まり帰ったとき

さわやかな風とともに

かなしみを流してくれる夜の雨が

好きです

暗い夜に見えないうちに

どこかに流れます

さあ寝ましょう

明日はきっといい日だから

心が真っ白な

いい日だから
あのきつねが朝、目を覚ました時に

空を見上げて鼻を鳴らしたとき

今日、こんな目に合うと思ったろうか

自分の命が今日限りなんて疑わず

巣を駆けだした

躍動する君の足

熱い血潮を燃やした所に僕がいた

信じられぬと目で見て、そして、そして、

君の閉じる目は僕を見て

撃った僕を見て
フケがヘッセの詩集に落ちた

うすあかるい光りが蛍光灯にあり

ラジオから歌が流れる

天国から見えない夜空を想い

その下で寝る幾千もの人のことを想う

ヘッセ詩集をめくり僕は思う