男は宇宙を駆ける星だった。
女は巨大な太陽だった。
重力は強く引き
遠ければ無事だけれど
少しでも近付けば
加速度的に魅き寄せられてゆく。
その度に二つの固まりは一つにはなれず
激しくぶつかっては力いっぱい弾かれて
また遠くへ離れようとする。
けれどそんなに遠くへは逃げられないので
また距離を越えてしまい
近付いてしまうのだ。
そうしばらくの間は。
口ずさむのは、遠い昔に恋をした
女の名前だった。
悪いのは、恋をした僕。
彼女を愛した僕だ。
もし、これが辛いというのなら
辛すぎるのなら
悪いのは恋をした僕自身だ。
この街に子供の声が流れる。
誰もが愛を抱えている。
僕は夜の河を眺めながら。
じいっと思い続けた。
いつの事だったか。
この街で愛を失ったのではない。
新しい恋が始まる。
この街のどこかで。
いつか、新しい愛が見つかる。
山から見える夜景が忘れられない。
この街に吹く風よ。
確かな声が聞きたい。
この街に流れる河よ。
確かな温もりを感じたい。
この街よ、海風よ。
待っていてくれと、伝えて欲しい。
海辺の出会いでもいいじゃないか
二人がその時
たちまちに恋に落ちたのなら
あの頬笑みを忘れられそうにない
海辺で出会ったこの後悔を
海辺で知ったこの恋を