2020/01/03
蜜柑はかじかむほど冷えてぷくり
2020/01/08
鉄道の音、朝一番の霜が降り
2020/01/30
雪降らぬ翌日の風は暖かくいかにも春そ二月も待たずに
2020/02/18
草踏めば読めない文字の模様して春萌え夏茂げ秋喪え冬来る
2020/02/18
子供らは自分を定義するのに忙しい立春
2020/02/19
アフリカを歩いて雪原の果てまで歩き漕ぎ出で殺戮を先端で待つ
2020/03/07
昼でも夜でも赤映えて椿ぽとり
2020/03/10
異常気象と言うけれど白梅満開
2020/03/10
篝り火に椿が音立ててボトん
2020/03/18
自生するつばきつばきつばきの先
2020/03/20
咳をして恐怖から戻る
2020/03/20
咲く前の五月の風五月の雨
2020/03/20
人はそれぞれが砂の城。皆それぞれの形。高い城、強い城、広い城、低い城、狭い城、深い城、奇抜な城、どれも砂の城。人の数だけ、ある日サラサラと崩れて行く。
2020/03/23
桜咲く空色、幹は補助色
2020/03/26
緑色が鳴って幹を覆うように桜
2020/03/28
鳥とは反対に行く軍用機の青さ残して飛ぶや夕暮れ
2020/03/28
何かあるらしい我らは萌え出づる
2020/03/30
鮭らにも恋をさせよと軍艦巻き
2020/03/31
こんな形で奪ってゆくなよ春の雪
2020/04/05
人間のいない所を切り取れば空に桜
2020/04/07
日の光に吐血するか桜花
2020/04/07
陽の光に溶けてゆくように桜
2020/04/10
花びらの自由に舞うは落ちるまで風の姿をぞ形にする
2020/04/22
目に見えぬ恐怖でこれだけ揺さぶれば太陽は焼き雨は流し海しずかなる空には無音
2020/04/26
電柱もタンポポも君の世界では一大事
2020/04/29
エミューは引かぬ撤退せよ秋吉の冬
2020/05/01
惜しげも無く散って舞って風がある
2020/05/01
三味線がチリチリなる如く若葉が緑
2020/05/01
花に青空は似合わない薄い雲出て
2020/05/08
茫洋と草叢に初夏となる一歩
2020/06/10
実存は有限、作用は無限へ
2020/06/23
雨降ってクチナシ咲いて二階まで
2020/06/25
ふたつ翔ひとつ翔とひらひら別つ
2020/07/12
挟まって干からびた虫や線状降水帯
2020/07/12
梅雨晴間子供わらわら出にけり
2020/07/12
雪の上に君の名を書いた水は今では溶けて青葉の中
2020/07/12
蔵の匂い有馬の湯ふかく潜ってく
2020/07/15
風吹けば穏やかなるに池の端に いたくな散りそ春ならなくに
2020/08/03
可能性の量化が起きてこの星は夏
2020/08/10
雨ぶって蝉の夕暮れ碇ヶ関
2020/08/10
ホームにて40分間夕立しか見ていない
2020/08/15
大きければ大きいほどの雷
2020/08/15
田圃の青さ軽トラの佇み
2020/08/16
雷が鎮めたものに夕立が癒してゆくか流してゆくか
2020/08/28
苔むしたひぐらしのいる墓地にいる
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